リスト:愛の夢

今日の1曲
05 /28 2012
6月の演奏会のテーマは「東欧」、特にハンガリーとチェコですが、
この中で圧倒的に有名な作曲家はなんといってもリストでしょう
演奏会ではリストの、これまた超有名な曲、「愛の夢」を演奏します。

フィギュアスケートの音楽として使われたり、
CM曲で使われたりよく耳にする「愛の夢」ですが、
正式には「愛の夢~3つのノクターン~より第3番」というタイトルになります。
ということは、第1番と第2番もあるということですね

しかも、この曲集は、もともとソプラノのための独唱歌曲として
書かれた作品を、リスト本人がピアノ用に編曲したものなのです。
編曲といっても、歌曲をそのままピアノに移し替えているわけではないので、
作品の持つ雰囲気も歌曲版とはいくぶん異なります。
ですが、歌曲にもともと付いている歌詞の意味を知ることも
曲の理解の一端につながりそうですので、今日は「愛の夢」に
込められた詩の世界をご紹介します

まず第1番。ウーラントという詩人の「高貴な愛」という詩に
基づいて歌曲が作曲されています。

「高貴な愛」

愛の腕の中にお前たちは安らぎ酔いしれて
人生の果実がお前たちを差し招いている
ただひとつの眼差しだけだ 私の上に注がれるのは
けれど私はお前たちの誰よりも豊かなのだ

地上の幸福など私は喜んで捨てよう
そして眼差しを、ひとりの殉教者として、上に向ける
なぜなら私の上では金色に輝く彼方に
天国が今や開かれたのだから


ここで歌われている愛は男女の愛ではなく宗教的な愛のようですね。
確かに聴いてみると第1番は高貴で天国的な雰囲気を持っています。

続いて第2番。
これも1番と同じくウーラントの「私は死んでしまった」という詩に基づいています。

「私は死んでしまった」

私は死んでしまった、愛の恍惚のあまりに…。
   私は葬られた、あのひとの腕のなかで…。
   私は目覚めた、あの人の口づけによって…。
   私は天国を見た、あのひとの眼の中に…。
              眼の中に、眼の中に…。


今回初めて、「愛の夢」について勉強するにあたって
第2番を聴いてみたのですが、私この曲好きです 
もちろん有名な第3番に比べればずいぶん地味なのですが
(そして私はもともと地味な曲好きという傾向があるのですが)、
心の奥深くに内省していくような曲です。
この詩の言う「愛」が宗教的なものなのかそうではないのかは分かりませんが、
とにかく身も心も恍惚とした、静かな中に高まりを感じる曲です。

この曲、今度弾いてみよう。。

そして第3番。フライリヒラートという詩人の詩がついています。

「おお、愛しうる限り愛せ」

おお愛せよ,あなたが愛しうる限り!
おお愛せよ,あなたが望むだけ!
その時は来るのだ,その時は来るのだ
あなたが墓の前で悲しむ時が!

そして心せよ,あなたの心が燃え立ち
愛をいつくしみ,愛を担うことを
あなたの心に対して他人の心が
愛によって暖かく脈打つ限り!

そしてあなたに胸を開く人のために
できうる限り、優しくあれ!
そしてその人のすべての時を喜びで満たし
いかなる時も悲しませてはならない

そして気を付けるのです
あなたの舌から心無い一言が滑り出てしまわないように
ああ神様、そんなつもりではなかったのと言っても
その人は泣きながら去って行ってしまうだろう


3つの中で一番能動的な愛の詩ですね
旋律も3曲の中で一番躍動感があって華やかです。
3曲の中でこの曲だけ有名になった一因でしょう。

最後の「気を付けるのです…」からの部分はちょっぴり説教っぽくて、
初めに読んだとき「ガーン…確かに…。気を付けよう…」と
なんだか一人で落ち込んでしまいましたが(笑)、
大きな愛を謳った素敵な詩です。

愛は減るものではなく、使えば使うだけ溢れ出てくるもの。
家族であれ、友人であれ、恋人であれ、
宗教であれ、仕事であれ、
せっかくこの世で自分と関わる巡りあわせとなった人や物事に、
できる限り大きな愛でもって対峙していくことが大切なんですね

当日は自分なりの「愛の夢」を演奏したいと思います

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