庄司薫「赤頭巾ちゃん気をつけて」

今日の一冊
03 /10 2012
今の私の大学でのお仕事は、学生とほぼ同じような学事歴に則っているので
夏休みも春休みも学生と同じでとても長いのです。
今日はそんな春休み中のある一日を描いた小説をご紹介します。

庄司薫の『赤頭巾ちゃん気をつけて』です
作者の庄司さんはピアニストの中村紘子さんのご主人、ということで
以前からなんとなく興味があったのですが、本が絶版になっていて
なかなか読む機会がありませんでした。
この間フラ~っと本屋さんに入ったらちょうど新潮社から文庫化されていたのを
見つけたのでさっそく買って読んでみました

主人公は日比谷高校3年生の薫くん(作者と同姓同名)。
薫くんのある冴えない一日の出来事が、主人公の一人称でひたすら
つづられています。
学生運動のことが出てくるので時代設定は
今から40年以上前ということになりますが、
そうとは思えないほど現代的というか、今風です。

主人公の頭の中をそのまま活字にしたように、
小説全体が話し言葉でずーっと埋め尽くされているのですが、
その手法が村上春樹さんとか森見登美彦さんの小説に
通じているからかもしれません。

それに、大学進学を前にして主人公が悩む
「なんのために勉強するのか」
「知性とは何か」
「自分はどのように生きていくべきか」
「みんなが幸福になるためにはどうしたらいいか」
という問題が、時代を超えても若者の共通の悩みであるからかもしれません。
読んでいて懐かしく、まぶしくなりました。

それから小説の中に「中村紘子さんみたいな若くて素敵なピアニストに
ピアノを教えてもらえたらいいのになぁ」みたいな箇所があって
個人的には「おおおっ!!」とコーフンしました(笑)
(中村紘子さんのエッセーの中にも「自分のことを書いている、
ヘンテコな小説の作者が後の自分の結婚相手になるなんて」
というようなことが書いてあります)

薫くんシリーズは4部作になっているそうで、これから毎月新潮文庫で
発売されるそうなのです。
青い薫くんがこの後どのように成長していくのか、楽しみです

yukarigoto

ピアニスト後藤友香理のブログです。
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